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コラム
「採用マーケティングの最新トレンド」採用活動における企業カルチャーのつくり方
■■■採用市場のトレンドの変化■■■
企業の魅力の明確化する具体的な方法
この記事では、採用活動にマーケティングの手法を取り入れる事例について紹介していきます。 近年、求人市場のトレンドの変化が起こっており、大手企業から同様の企業への転職が一般的なトレンドであるにもかかわらず、25歳から44歳の特に個人において、ベンチャー企業への転職を考える動きが顕著に増加しています。 そのため、企業の魅力の明確化がこれまで以上に重要になってきています。企業は見込みのある候補者にとって何が魅力的かを効果的に伝え、情報を発信していく必要があります。会社のビジョンやミッションだけではなく、具体的に企業が取り組んでいる課題に焦点を当てることが、候補者にとってより引きつける魅力を提示することにつながるといった事例も多く見られています。 その流れで、企業文化を整え、候補者とのカルチャーマッチを計ることにも注目が集まっています。 各企業が自社の企業文化を明確化してアピールすることが推奨されており、近年ではSNS等での情報発信も含めて、企業文化が過度に飾り立てられずに、正しく嘘のない形で描かれるようにすることも重要視されています。これは、採用後のギャップや文化の不一致による早期退職を防ぐ上で不可欠だと考えられるためです。 採用後のギャップの解消のためにも、効果的に自社の魅力をアピールし、マーケティング戦略を採用活動に応用することで、候補者が新しい企業に入社した後に期待と現実のギャップに対処する必要がないように、正確な情報を伝えることがより重要になってきています。 人材不足を背景に、これまで以上に、早期退職を解決し、防止するための戦略が重要とされてきています。 そのうえで、企業の課題志向を提示することの重要性も増してきており、この変化は、候補者にとっても、企業が積極的に取り組んでいる課題を理解し、自分のスキルがこれらの課題の解決にどう貢献できるかを評価できるようになると考えられています。 この記事では、近年の採用市場の動向から、採用活動を行う際のポイントについて解説していきたいと思います。 |
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目次 ■採用市場を読み解くポイント ■採用の変化についての洞察 ■企業への転職の変化 ■募集企業の認知度の拡大 ■採用の第一ステップは「出会う」こと ■企業カルチャーの言語化 ■カルチャーギャップを最小限に抑える ■価値観の明確化 ■採用=マーケティング ■まとめ |
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■採用市場を読み解くポイント |
近年、採用市場を取り巻く状況が大きく変化してきています。それは、世の中の人々のキャリアに対する考え方の変化とも言い換えることができます。 そのような中で、自社の採用力を高めるイメージを構築するにはどのようなポイントが必要なのでしょうか。 まず、日本における人手不足の原因と背景について見て行きます。企業における「人手不足」とは、業務を行う上で必要な人材が集まらず、業務に支障が出ているような状態を指します。人手不足に陥る企業の割合は年々増加しており、コロナ禍以降に顕著化しています。 【出典】株式会社帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)」 人手不足に陥る原因は、大別すると「少子高齢化」と「人材のミスマッチ」の2つが挙げられます。 ・少子高齢化 日本は世界的に見ても、急速に少子高齢化が進行している国の一つです。日本の生産年齢人口(15〜64歳)は1995年をピークに、総人口も2008年をピークに減少に転じています。 総務省の推計によれば、生産年齢人口の比率は2020年:2065年で100:70もの差が生じるという結果が出ています。また、パーソル総合研究所の「労働市場の未来推計2030」によると、2030年には7073万人の労働需要に対し、見込める労働供給は6429万人であり、644万人もの人手不足になると予測されています。 ・人材のミスマッチ 就労・産業などの大きな構造変化が、社会全体ないし職場内での人材のミスマッチを生んでいることも人手不足の要因と考えられます。 下の表は厚生労働省が発表した職業別の有効求人倍率の一部です。有効求人倍率は、有効求職者に対する有効求人数の割合であり、求職者よりも求人が多いとき(人手不足)は1を上回ります。 【【出典】厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年4月分)について」 土木・介護・サービスに関する業種は人手不足が著しい一方、一般事務や会計事務、運搬・清掃・包装等の職業は人材の余剰が発生しています。 「求人を出しても採用できない」と困る企業がある一方で、「仕事を探しているのに見つからない」と悩む求職者がいる。企業と求職者の間で求める能力や資格、労働条件などのミスマッチが生じていることに起因する「構造的失業」といえます。 労働力不足と構造的失業の2つの要因が、慢性的な人手不足という事象を引き起こしています。 |
■採用の変化についての洞察 |
このように、日本の労働人口は年々減ってきているため、この先40年をかけて、2060年には、4000万人減少するとも考えられています。労働人口とされる15歳から64 歳の人口の減り方も約半分になることが予想されています。この労働人口を取り合いになることが採用市場においては、今後より加速していくことが予想されています。 それでは、キャリアパーソンと呼ばれる労働人口の人々はこの先、どのような形で働くことを望んでいるのでしょうか。調査によると、9割以上の人が会社に依存しない形での自立的なキャリア形成が必要だと回答したと言われています。 これまでの終身雇用で会社に自身のキャリアを委ねるという考え方が多かった時代から、自身のキャリアパスを視野に入れる傾向へと、時代の流れと共に変わってきています。 世代による違いはありますが、50代未満のキャリアパーソンの多くは自身のキャリア形成に危機感を覚えており、自立的に会社に頼らない働き方を求める傾向があります。 30代後半から40代の転職希望者も増えており、一昔前までの「転職は1回まで」「転職は20代まで」といった固定概念が以前より、無くなってきているという傾向も出てきています。 このことから、いかに現代の人々が、普通に働いているように見えて、実は転職を視野にいれて日々過ごしているかという潜在ニーズを知ることができます。 |
■企業への転職の変化 |
転職希望者が増加している中で、大手企業への転職が一般的だったこれまでに比べてが、ベンチャー企業への転職も増加してきています。 このように、働く人々の意識が変わり、求職者が企業に依存せずに自律的なキャリアを構築する動きが広がっているため、求職者の意識変化に対応して、各企業も柔軟性を持つべきだと考えられています。 企業の中でも、これまで以上に、社員に副業や兼業の選択肢を提供する体制を整えるべきだとの提案があり、従来の求職者と企業の関係から、企業も新しいアプローチを模索し、中途採用においては自社と候補者の相性を重視し、魅力を伝えることが重要になっています。 この事から、企業の採用活動においても、ファン作りやリファラルといったアプローチが重要であり、社員が企業に対して自分の知り合いを紹介するといった仕組みも注目されはじめています。 リファラルとは、人を介した行為を表す英語の単語で、ビジネス用語としては、人材の採用や商品・サービスの販売促進において、既存の顧客や社員などからの紹介や推薦を受けることを指します。 リファラル採用は、自社の従業員に、知人や関係者などを紹介・推薦してもらうことにより、採用につなげる方法のことを指します。 |
■募集企業の認知度の拡大 |
リファラル採用は、単に社員からの紹介で転職活動中の人を自社に連れてくるのではなく、優秀な人を見つけた際に、転職活動に関わらず、会社に共有するという仕組みでもあり、良い人材を紹介する機会を増やすといった側面もあります。その影響が連鎖していくことで、結果、会社の魅力を広めることが出来ます。 その一方で、スタートアップ企業の魅力を伝えるキーとしては、代表者の存在も重要となります。代表者その人がどんな思いで会社を作りたいのかを、直接、言葉にして伝えることも重要であり効果的な手段の一つとなります。 知名度の低い企業であっても、求職希望者が主体となりつつある採用市場においては、認知度の向上が必要であり、まずは自社についてしてもらうというステップが重要となります。 採用の過程において、まずは自社が求める候補者と出会い、会社について理解してもらい、その上で、適性を見極めるというステップが重要となります。 |
■採用の第一ステップは「出会う」こと |
採用の第一ステップは「出会う」ことであり、その際に、企業側としては採用の要件を明確に定義することが重要となります。とはいえ、簡単に優秀な人材を連れてくることは難しく、スキルマッチとカルチャーマッチの言語化が求められます。 そのためには、自社の要件定義をする必要があり、現場で実際に働くメンバーや採用担当者が協力をして、自社にとって必要な人材に求める要件定義をする事が最重要なステップの一つとなります。 一方で、企業のカルチャーマッチの言語化はまだあまり進んでおらず、これ部分が難しいとされていることも事実です。 カルチャーマッチの言語化には、どんな会社を作りたいか、実際に現場の社員がどんなカルチャーで活躍しているかを明確に伝えるプロセスが必要となります。企業のカルチャーが伝わるコンテンツは作成して、求人者と企業とが期待値や文化を一緒に共有することが出来る状態を以下に作れるかがポイントとなります。 企業カルチャーを形成する際の参考になるもののひつつが、「カルチャーマップ」です。カルチャーマップとは、異文化理解のためのフレームワークの一つで、異文化人材を率いるマネージャーが自覚しておくべき各文化の相対的位置づけを示した分布モデルのことを指します。 エリン・メイヤー氏が世界有数のビジネススクール INSEADで教授を務める中で、同校のプログラム参加者である世界各地から集まったエグゼクティブから得た情報を検証し作成された、マネージャーが自覚しておくべき8つの指標において、67カ国の文化の相対的位置づけを示した分布モデルです。 カルチャーマップの8つの指標は 01:コミュニケーション ・他者との対話において明確な物言いを好むか、含みのある物言いを好むか ⇒明確な物言いを好む文化=ローコンテクスト 含みのある物言いを好む文化=ハイコンテクスト 02:評価 ・否定的なフィードバックをする際に、直接的に伝えるか、間接的に伝えるか 03:リード ・権力者に対する敬意・服従がどの程度見られるか ⇒敬意・服従の強い文化=階層主義的、弱い文化=平等主義的 04:決断 ・意思決定をする際に「合意」をどの程度重視するか ⇒合意を重視する文化=合意志向、個人で決断をする文化=トップダウン 05:信頼 ・信頼形成にあたり、「タスクの達成」を重視するか、カウンターパートとしての「関係性」を重視するか 06:見解の相違 ・意見の対立を是とするか、非とするか 07:スケジューリング ・スケジュールを遵守するか、状況に合わせて柔軟に対応するか ⇒スケジュール遵守=直線的な時間、状況に合わせる=柔軟な時間 08:説得 ・他者を説得する際、原理を根拠に話すか、事例を根拠に話すか グローバルビジネスにおいて企業から多くよせられる相談のひとつに、「相手国の文化の理解がマネジメントのネックになっている」というものがあります。この概念を日本や自社に置き換えて、企業のカルチャーマップとして活用することで、採用におけるミスマッチを減らすためのヒントになります。 |
■企業カルチャーの言語化 |
採用活動において、スキルマッチとカルチャーマッチは非常に重要な要素の一つです。 カルチャーマッチの言語化は、採用の際に同じ企業文化の中で成長できる人材を獲得するために用いられます。企業のカルチャーを理解しやすくするために、企業独自のカルチャーが具体的にどのような企業内での行動に現れるているかを具体的に説明することができると、採用や面接がよりスムーズに進みます。 特に求職者は、スキルやカルチャーの言語化が明確になされている場合、具体的な業務内容や、なぜそれが企業のために必要なのかなどをより深く理解することが出来るようになります。そのためには、求人媒体やSNSなどの求人のためのメディアに、そのことがより細かく書かれていることが必要になります。 その時にも、企業カルチャーの言語化は、誇張しすぎず、実際の姿勢や行動を正直に伝えることが大切になります。過度な表現は逆効果となり、早期退職やミスマッチの原因になる可能性を高めます。 近年では、より具体的な会社の雰囲気を伝えやすい動画を活用する事例や、SNS等での相互のコミュニケーションを通じて、会社の本音や雰囲気を伝え、実際の姿勢と印象のギャップを最小限に抑えることが求められています。 |
■カルチャーギャップを最小限に抑える |
カルチャーギャップがある場合は、求人メディアを通じて企業が崇高なビジョンや有意義なミッション、革新的な働きやすさなど良い印象を与える一面がある一方、実際には厳しい一面やデメリットがあることも伝え、認識させることも必要です。よい部分だけを誇張するのではなく、求職者にとってのギャップを最小限に抑え、より正しい選択肢っを与えることることが重要となってきます。 採用の際に、実際の企業の目指す形と齟齬の少ない、企業ならではの魅力や、個別のやりがいを丁寧に伝えることがより効果的な採用を進めるポイントになります。 企業カルチャーを発信するためにも、ウェブサイトの改善や、SNSの活用、有識者からのアドバイス、社内でのアンケートをとるなど、様々なアプローチを駆使して行うことで、採用効果を向上させる可能性が高まります。 起用カルチャーを改善する際には、企業が目指す価値観に対する具体的な社内の事例や社員の声を取り入れることで、より嘘のない、具体的な情報を提供できるというメリットがあります。 価値観や具体的な行動の例をアンケートや社員の声を通じて収集し、採用チームにフィードバックすることで、会社の実態をより正確に伝えることが可能になります。 |
■価値観の明確化 |
一方で、社員の好みや価値観には偏りがあるため、社内での聞き取りを実施して企業における中心的な価値観を明確にすることも重要となります。 明確化した価値観を軸にして、具体的な事例やエピソードを通じて、情報発信をすることで、求人者と企業間のカルチャーフィットの判断に貢献することができます。 求人媒体やメディアにおいても、社内メンバーの具体的な役割や背景、特に仕事上での経験を明示することで、オフィスでの雰囲気や企業が求める志向がより求職者に伝わりやすくなります。 自分にとって最適な環境で働きたいと考える求職者にとって、オフィスの雰囲気や様子をより分かりやすくビジュアルで伝えることや、事業の成長過程、売上などの具体的な情報を知ることは重要で、これらを積極的に提供して、情報発信することが求められます。 自社の成長過程や事業の規模、市場での影響力などの実際の数字やデータを公表することで、企業の信頼感を高めることができるため、より求職者の信頼を得ることが可能となります。 |
■採用=マーケティング |
近年では、採用はマーケティングだとも考えられており、競合と候補者にとってのアピールポイントを明確に言語化することがこれまで以上に、採用市場においても重要な要素となっています。 企業のビジョンを表す写真や動画などのビジュアル、サイトデザイン、オウンドメディアなどを活用した訴求、自社商品やプロダクトの価値提供など、それらの表現もアピールポイントの一環であり、より精度の高い情報発信を含めたマーケティング要素の活用が重視される傾向にあります。 また、本来の企業ビジョンやミッションの提示も重要ですが、それ以上により具体的な課題解決方法に取り組んでいるという企業の姿勢を強調することも効果的であり、ホームページや発信するコンテンツに、自社が現在取り組んでいる課題やその解決方法を明示することが求められるようになってきています。 企業が行っている課題解決のアプローチが分かると、優秀な候補者は自分の力を試したいという興味を持ち、優秀な人材が採用で集まる可能性がより高まるとも考えられます。 プロダクトやエンジニア採用においても、技術面だけの要件定義に終わらず、より具体的にどのような課題のために働き、仕事に取り組んでいるのかといったアピールの仕方が重要であり、よりその仕事の働きがいや魅力を伝えることが求められています。 |
■まとめ |
企業が採用能力を向上させるための戦略としては、最新のトレンドを把握し、求人市場の変動に適応することを意識する必要があります。 優秀な才能との協力がこれまでよりも求められており、少ない人材を取り合わざるおえない状況にあるとも言えますが、日本の人口減少という課題に企業が直面する中で、これに対処するためには、積極的な採用に向けての試行錯誤とアプローチが必要だとも言えます。 まずは応募企業が求人市場の現状についてより深く理解し、効果的な採用戦略を学び、変化するトレンドに対応して採用能力を向上させていくことが必要最低条件となるといえるのかもしれません。 |
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